PCの実使用に影響する性能3要素

 PCといいますかいわゆる計算機全般において比較するときに、使う上で明確に影響するという性能について、意外と重視されないものがあると感じるので今日はそのことを書いてみたいと思います。
 私が今のところ3つの要素がそれぞれ等分に影響していると考えており、PC単体の性能(演算能力)、入力機器の性能、表示機器の性能です。

 

1.PC単体の性能(主に演算能力)
 これは誰しもが重視するでしょうし、一番わかりやすい性能です。通常使用においてはCPU、メモリ、グラフィックボード(以下GPU)、記憶装置(HDDやSSD等)あたりが影響大です。
 もっともこれらを十分に動かすためにはマザーボードや電源、PCケースやCPUクーラーを含めた冷却機構の質も重要になってくるために、実際には軽視して良いパーツというものはほぼ有りません。
 一昔前はゲームをやらないならGPUは拘らなくても良かったのですが、最近は多くのソフトウェアでGPUを演算に利用する作りになっているので、かなり広い領域において重要になりました。
 記憶装置もHDDしか無かった時代は、性能と言えば記憶容量と信頼性の部分が大きかったのですが、SSDの登場でPCの動作速度に如実に影響するようになっています。
 もちろん全てにおいて最高品質とするべきでは無いですし(お金がいくらあっても足りない)、用途に合わせてある程度の取捨選択は出来るのですが、それはあくまで必要最低限の品質は確保することが前提になります。
 あまりに思い切った割り切り方をすると思わぬボトルネックに見舞われる事になりかねないので、結局は局所的に豪華にするよりも全体のバランスを取った方が高性能になることが多いです。

 

2.入力デバイスの性能
 PCを操作する為の信号を入力する機器で、マウスやキーボードがこちらに入ります。
 また、ゲームをする上での各種コントローラ、イラストを書く為のペンタブレット等もこちらに入りますし、映像編集や音声編集のための専用入力機器などもこちらです。
 この項目になると一気に重視する人が減り、結構な人がPC本体購入時に付属のマウスやキーボードで済ませてしまいます。
 ですが、ここはPC単体の性能と同じくらい重要な項目ですし、場合によっては一番変化を感じやすい機器でもあります。
 また、キーボードやマウスはどんなに高くとも2~3万円以内には収まりますし、1万円も出せば結構高性能なものを選べるので、コストパフォーマンスが高いジャンルだと思っています。
 大抵のデスクトップPCを買うとマウスやキーボードが付属でついてきますし、ノートPCだとそもそも一体となっています。なまじそれらで殆どの操作を行えてしまうために、ここにお金を出すという感覚が無い人が多いのかもしれません。
 しかし、高性能なキーボードやマウスを使うと、これまでが何だったのかと思うほどに入力や操作の効率が変わります。
 私が使用しているのはキーボードは現在はsteelseriesのApex PRO、マウスはロジクールのG604ですが、どちらも非常に優れた機器だと思ってます。
 Apex PROは打鍵の速度もさることながら打鍵時のストレスが非常に少ないですし、ゲーム等に流用した場合も非常に高い性能を示してくれます(というか本来そちらが主目的)。
 マウスのG604は備えているボタン数がかなり多く、これに各種機能をアサインすると本当に便利です。
 現在私は、G604に備わる親指ボタンだけでタブを閉じる、アプリを閉じる、デスクトップの表示、別ウインドウで開く(CTRL+左クリック)、閉じたタブの復元を行うことが出来ます。
 更にワンボタンで違う設定に瞬時に切り替え可能ですし、ソフトウェアごとに設定を切り替えるなんてことも出来たりします。
 イラスト用のペンタブレットやその他の専門の入力機器は一般的には殆ど縁が無いでしょうが、マウスやキーボードを使わないなんてことはあり得ないですし、むしろ誰もが長時間操作するものなのですから、ある程度の投資をすることをお勧めしたい項目です。


3.表示機器の性能
 PCの映像を表示するディスプレイがここに当たります。これはマウスやキーボードほどではないにしろ、やはり拘る人が少ないと感じる項目です。
 特に最初からセットになってるPCを買ったり、一体型のPCを使っている人はよりその傾向が強いと感じます。ですが、ここの性能もてきめんに作業効率に影響します。
 重要な項目は大きさとディスプレイの数、次いで画面の表示品質や機能となってきます。
 画面の大きさは一定の大きさまではほぼ比例関数的に作業効率に影響すると思っています。現在の環境では概ね23型~27型くらいが境界でしょうか。
 それ以上になるとより大きくしても影響度は下がっていきますが、それでも32型までは恩恵を感じられやすいでしょう。
 逆にディスプレイを小さくしていくとてきめんに効率が悪化し、13型を切る小ささになると割り切っていても通常使用はかなり厳しいです。
 もっとも、大きすぎると今度は視線移動だけでは画面全体をとらえられず、首を振らなければならなくなるので大きすぎるのも問題になります。何事もやり過ぎは良くないという事でしょう。
 もっとも画面を大きくするとその分ディスプレイからの距離を取れるようになるので、かなり大きな画面を使うのは目の疲れ軽減という意味で結構有効だったりします。
 表示解像度について、FHDや4k等は基本的に作業効率という意味ではほぼ関係が無いと言ってよいです。
 むしろ、画面が大して大きくないのに4K解像度にする方が、表示領域の関係で効率を悪化させます(文字が小さくなりすぎる等)。
 特に高解像度に対応してないアプリケーションは非常に使い勝手が悪くなるので、4Kにするならば最低でも32型くらいはあった方が良いと思います。
 表示解像度はディスプレイの大きさに応じて適切なものを選択するべきものであり、画面の大きさを考えずに表示解像度だけを考慮してもさほど意味はありません。
 どうしても画面が小さくならざるを得ないラップトップPCでも、ある程度の作業性を確保したいのならば13.3型以上にしておく方が無難です。
 10型を切る場合は、基本的にコンテンツの消費は何とかなっても、何かを作成する作業は、それが軽微なものであっても人によっては困難と判断するレベルになります。
 色の正確性や輝度等の表示品質に関わる部分は、人によって重要度が大きく変わりますので、一概に影響が大きいとは言えない部分です。
 例えば動画のカラーグレーディングや写真の編集、イラストの作成等を行う人にとっては最重要項目ともなるでしょうが、多少色味が不正確でも、テキスト主体の入力を行う人ならば大して問題にならないといった感じです。
 また、表示品質のクオリティを追及するとディスプレイの価格が跳ね上がるために、本当に必要かどうかをしっかりと考えた方が良いです。
 同じ大きさ、同じ解像度でも2倍以上価格が違うなんてことは当たり前で、むしろ2倍程度で収まればかわいい方です。
 3~4倍違うこともザラですし、下手をすると10倍以上、特殊な製品なら100倍以上違うなんてことにもなりかねないので、きちんと自分に必要なスペックを把握するべきでしょう。
 いやいやご冗談をとか、流石に100倍は盛りすぎでしょと言う方は、「マスターモニター sony」あたりで検索してみてください。
 多分値段を見たら、0の数が間違ってない?と言いたくなると思います(何せ軽く100万円超えてるものがごろごろしてますので)。
 ディスプレイの数については、1枚と2枚の間に超えられない壁があると感じます。
 ここから3枚目あるいはそれ以上を追加するかは使い方や考え方次第だと思いますが、殆どのケースにおいてディプレイが2枚あるというのは大きく作業効率に影響すると感じます。
 例えば調べ物をしながら文章を書く、HTML等のコードの記述と実際の表示や動きを見比べる、PC上のファイルの移動等の操作等、本当にあらゆるところでディスプレが二つあると全然効率が違います。
 私は42型の4Kテレビをメインディスプレイ代わりに、27型のディスプレイをセカンドディスプレイとして利用しています。

 

 以上のような感じです。
 PCの性能というと1の項目ばかりが話されます。最近聞かれるようになった、スマートフォンタブレットの性能が上がったからPCは要らなくなる、というような論調もこの1のみを重視している考え方だと感じます。
 ですが、2や3の項目の性能も極めて重要であり、そこが劣っていればとても作業効率が落ちてしまうことは認識した方が良いと思うところです。
 例えばスマートフォンで言えば、ディスプレイはどんなに大きくても7型を超えるということはまずなく、極めて狭い表示領域しかありません。
 また、タッチパネルによる操作は決して万能な操作方法ではなく、長時間の操作にもあまり適していません。思っている以上に人の手は重く、疲れやすいのです。
 文字入力する際には文字盤を画面上に表示させなければならないために、ただでさえ小さい表示領域が更に小さくなりますし、得意でない操作を行おうとすると途端に効率が落ちます。
 1000字程の文章を入力するのは、PCで23型ほどのディスプレイとキーボードを使えば(タッチタイプができる場合は)特に苦もなく行える作業ですが、スマートフォンではどれだけ慣れようとかなり大変です。
 表示領域のせいで文章の全体が確認し難いですし、タッチパネルによる入力はタッチタイプが極めて困難で、入力領域にどうしても視線を奪われてしまうからです。
 PCを含めた様々な計算機器の性能を考える時、演算能力だけではなく入力機器やディスプレイも重要であることを、しっかりと考えたいものです。