Dyson v10 fluffyを使った時の感想

 私は数年前、以前の職場の掃除でDyson V10 Fluffyを一定期間使用した事があるのですが、使ってみて何でこんなものがあんなに評価されてるの?と疑問に思ったことがあったので、今更ながら書いてみます。
 個人的な印象として、会社としての最初に出した掃除機ならばともかく、長年作り続けてこの構造ならば落第レベルだと思ってます。それくらい構造的に問題があります。
 なお、ある程度時間が経っているので現行バージョンではない可能性がありますが、その点はご留意ください。

 

1.重量と持ち手の場所の問題
 まず、明らかに掃除機として重量が重すぎますが、これはまあ吸引力を重視した、サイクロン機構を重視した、という主張はあろうかと思います。
 ですが問題なのは、それだけ重い機種にもかかわらず持ち手がその一番重い本体の直下にあるということです。
 これだとただでさえ重いのにその重量がより持ち手にかかる上、姿勢として力を発揮しにくい(疲れやすい)姿勢で保持しなければなりません。また、重心も上がるために扱いにくく、余計に疲れやすく感じます。
 取っ手を本体の上側もしくは後部につける、サイクロンを含む本体の重い部分をもう少しヘッド側に押し出すといった工夫だけでも、重量感や扱いやすさはだいぶ変わったはずです。
 デザイン優先でしょうかね?

 

2.トリガーの問題
 まず、掃除機で稼働がトリガー式という時点でどうかと思いますが、百歩譲ってまあ思想の違い、好みの問題で片づけてもいいでしょう。
 ですが、トリガー式にしているのにそのロックボタンがないのは、全く掃除する人の事を考えていないと言わざるを得ません。
 確かに、トリガー式でロック構造のないもの(電動工具等)は存在しており、例えばインパクトドライバーや電動ドライバー等がそれにあたります。
 ですがそれは、むやみに動き続けていると作業する上で問題があったり、危険だったりするからです。
 またそういった工具は、連続使用時でも駆動させている時間が止まっている時間より短い事も多いので、総合的に考えてロックボタンが要らないよねとなるのです。
 掃除機を使うシーンを考えたとき、連続使用している場面では明らかに稼働させている時間の方が長く、動き続けていることで大して問題を引き起こすようなものでもありません。
 まあ強いて言うならば電池の持ちが悪くなるくらいですが、そもそもこの掃除機を電池切れになるまで使うというのは重すぎてあまり現実的ではないので、問題になるとは思えません。
 ON/OFFをボタンやスイッチで切り替えるタイプの方が圧倒的に理にかなってますし、トリガー式にするならロックボタンは必須だと考えます。
 掃除機をかける時に、ずっとトリガーボタンを引き続けていなければいけないということがいかにストレスかは、実際に使って掃除してみればすぐにわかることだと思うのですが。

 

3.持ち手の構造の問題
 トリガーボタンのすぐ下に大きなでっぱりがありますが、これが極めて不快です。
 おそらくトリガーを握ったときに下側になる指で上方向への支えになるようにという意図だとは思いますが、トリガーを引く指(私の場合は人差し指)にこするようにあたり、また動作上当てずに掃除することがほぼ不可能です。
 前述のトリガーロックボタンさえあればそこまで問題にならなかったと思いますが、無いので大いに問題となります。私は、数日使っただけで人差し指の中指側側面にマメが出来ました。
 なるべく当たらないよう色々と持ち方を工夫しましたが、どうにもならずその部分はマメの段階を超え硬化しているレベルまでになりました。
 もうちょっと人間工学的に考えて物を作ってほしいです。

 

4.ヘッドの動きが軽すぎる問題
 おそらく小回りがきくようにという意図でヘッドの動きを軽くしたのでしょうが、これがあまりにも軽くて直進安定性が悪すぎます。
 基本掃除機を使う場面は、狭くて障害物があるような場所よりも、ある程度の面積があって障害物が無いか、障害物があったとしてもそこまで問題にならない場所というのが多いでしょう。特に狭い場所はどは、そもそもヘッドが入らないでしょうしね。
 要は、小回りがきくよりも安定してまっすぐかけられる方が、実用上はメリットが大きいということです。
 そもそもV10は重量がかなりあるので、ヘッドの動きが軽かろうが大して小回りはきかず、やろうとしてもコントロールがしにくいですが(これはヘッドが軽すぎるのも影響してます)。
 纏めると、広い場所を掃除するときに掃除機をまっすぐにかける動作に慣れと集中力が必要で使い辛く、かといって狭い場所にも向いているわけではないという意味の分からないことになってます。
 ちょっと気を抜くとグネグネ曲がってかけることになるために、その重さとも相まって非常にストレスがたまります。
 本当にこのヘッドを設計した人は、実際に使用テストをしたのか疑うレベルです。

 

 こんな感じです。
 正直言って、掃除機としての基本的な設計自体がお粗末なんではと思うレベルで、これを絶賛したり高評価しているレビュワーは、実使用の場面においてはほぼ信用できないと思っています。
 利点はまあ吸引力が強いということなのでしょうが、逆に言えばそれくらいしかメリットはないのではないでしょうか。
 ちなみにその吸引力が発揮される場面としてカーペットの上があげられると思いますが、上記の重さと直進安定性の悪さの問題で、かけにくいことこの上なかったです。
 私はDyson以外にもSharpとマキタのコードレス掃除機を使ったことがありますが、上記のような問題はほぼ感じないです。
 まあマキタで使ったことのあるコードレス掃除機は14.4Vの方なので吸引力がちょっと弱いですが、Dyson V10 Fluffyとどっちを選ぶか問われれば、私は迷わずマキタを選びます。
 私のV10を使った感想としては、狭い範囲でしか使わない、頻繁に使わない、短時間しか使わない、という人には向いているかもしれないな、という感じです。
 まあそういった用途でも、Dysonのネガがそごまで表面化しないだけで、他のコードレス掃除機より使いやすいという訳ではありませんが(それこそマキタで良い)。
 ガジェット好きで所有欲を満たすためなら買ってもいいと思いますけど、普段の掃除を楽にしたいと思っている人ならば、悪いことは言わないから他の会社から選んだ方が良いと痛感した機種でした。